2013年1月17日木曜日

■我が子を守る教育革命(文責:どんぐり倶楽部)

●2002年に出版した「絶対学力」のスピンオフ作品が残っていました。 現在の「どんぐり理論」から、見ると、深化していない部分も見受けられますが、原形はできています。
 本体「絶対学力」が絶版ですので、出版権には抵触しないでしょうから掲載します。
 後日消しますので、興味の有る方はコピーして読んで下さい。

「我が子を守る教育革命~0才から15才までの子育てと家庭学習のヒント~」
<まえがき>
ここに書かれてあることは20年間子ども達(0~15才)を指導してきた実践結果としての推論と実践方法です。「考える力を持った健全な子どもに育てる」ことを目的としています。この本さえあれば、教育は実に簡単に劇的に変えられます。
子ども達は最低でも9年間学校に行きます。しかも、一日の大部分を学校で過ごし、学校では授業を受けます。もちろん休み時間やお弁当の時間もありますが中心は授業です。その授業時間が「分からない・つまらない・おもしろくない時間」だとしたら、人間形成に最も大事な時期を苦痛の時間としてしまうことになります。心にも体にも良くない影響を与えることは明らかです。私は「たかが勉強、そんなものが役に立つか」と思っています。ですが、勉強は効果的な頭の体操になるのです。体は動かさないと硬直してしまい動かせなくなります。頭も同じです。体操をしなければ動かなくなります。硬直化した頭は、短絡的になり、情緒不安定になり、攻撃的になります。頭の体操(特に力やスピードをつけるものではない柔軟体操)とは考えることです。そして、人間(成人)になるには12才までに抽象概念を自由に操作できるようになる必要があります。愛情深く自然に育てれば自然にできるようになるのですが、現代では少し難しいようです。幼児期に先行学習やパターン学習などをしている余分な時間はありません。幼児期の全てを使って「ゆっくり、ジックリ、丁寧に」体験を積みながら豊かな言葉を習得し、抽象概念を自由に操作できる思考力を手に入れなければならないのです。時期を間違えたスピード練習は確実に柔軟性を失わせます。これは、スポーツも勉強も芸術活動も同じです。そして、このことに気づかなければ無意味な際限のないスピード教育に落ち込んでしまいます。既に早期教育・幼児教育という名の先行学習(カードやCDの害は後述)・異常な数のパターン学習を強いる大手塾のカリキュラム(こんな塾ならYoSaNかいに代表される)・パターン学習の中でも最悪の結果をもたらす反射式プリントを使う○○式教室(条件反射に使われたパブロフの犬を連想させる)の洗礼を受けた人は多いことでしょう。このようなことを子どものためだと思っていること自体が異常事態です。さらに異常事態は広まっており、高校退学者は年間10万人以上(毎年100校の高校が消えていることになる)。小中学校の不登校児童も10万人以上。年間自殺者に至っては3万人以上になっています。自分で自分を救えるようにするセルフレスキューの力(立ち止まり・状況を把握し・冷静に考え・自己判断する力)が必要なのではないでしょうか。
幼児期は料理の材料一つ一つを丁寧に味わう二度と戻れない最も大事な時期なのです。そんな時期に簡単お手軽で、どんな材料を使っているかも分からない料理ばかりを食べさせられていては味覚は麻痺し、材料に対する好奇心も探求心も愛着もないままに育ってしまいます。それでは、決して料理人(成人)にはなれませんし、料理(人生)を楽しむこともできません。大損失です。
教育界においては、九十年代から差別化(切り捨て)政策が巧妙に始められていました。「個性の尊重」です。一般語に翻訳すると、強制しないかわりに面倒も見ない。勉強したくない子供には分かるまで教えなくていい。決められた時間内で理解できなければ勉強する素質がないと見なし、それ以上のフォローはしなくていいということになります。二○○一年からは、完全週五日制(週休二日制)の結果、補習をする学校、何も対策をうたない学校と、学校間の格差がさらに広がり、二○○二年からは新指導要領が完全実施され、今度は「学校の個性」という名のもとに、公然と学校間での学習に対する格差を容認してしまいました。同年八月には、教科書の範囲を超えた「発展的学習」「補充的学習」の参考となる事例集を発表しました。これは、習熟度別授業の後押しをするもので、教育の差別化がいっそう進むことになります。中・高・大での選択制とは異なり、全ての学力の基礎をつけなければならない時期に学習内容の差別化や学習項目の差別化が公然と許されることになったのです。「個性の尊重=分からないことも個性なのだから、分からない子には教えなくていい」「総合的学習の時間=学校裁量なので全てを算数授業にあててもいい」「週五日制=土曜補習や塾講師を招いて学習してもいい」等という教育の差別化は既に始まっていたのですが、もう教師の技量や校長の教育方針だけでは対応できない事態になっています。これほどまでに学習内容や学習指導の格差が広がっている時代はなかったことです。どうやら、自分の子どもは自分で守る(自助の原則)という確かな決意を要する時代になってきたようです。

私は理論武装を好みません。なぜなら、貧弱な理論は目の前の現象を歪めてしまうからです。目の前の現象(子ども達の反応)を鋭い観察力と深い洞察力でよく見れば実践すべきことは見えてきます。
 今回、出版にあたり、初めて様々な教育関係の理論に目を通してみましたが、今の日本の状況にあった納得できるものは見あたりませんでした。それどころか、多くの場合、そこには商売がらみの似非教育者の顔が見え隠れしていました。保護者は、何が必要で何が不要なのかを知って、子どもに負担をかけることなく自然に豊かに成長できるように工夫をしなくてはいけないようです。安心してください。準備は既に整っています。学校で出来る部分は学校に強くお願いし、出来ない部分は家庭(校外)でやればいいんです。

 私は、この本に書かれてあることも含めて、御自身の経験と目の前のお子様の反応を信じて読まれることを希望します。そして、そのためには自分でやってみることが必要です。自分の心で感じてみることが必要になります。その後で、子どもはその何十倍もの敏感さで同様のことを感じ取っていることを思って下さい。そうすれば、絶対に間違った選択はしません。
 では、考える力を育てる「どんぐり倶楽部」の理論と実践を紹介します。子育ても家庭学習もキーワードは「言葉」です。

◆本当の学力とは、パターンを分類して素早く処理する能力などではなく、未知の問題を前に しても揺るがない自信で黙々と工夫する考える力のことである。

第1章ー現状分析ー

◆「満点落ちこぼれ現象」

 小学校低学年(小1~小3)の時には満点ばかりとっていた子が小学校高学年(小4~小6)になると、特に原因があるとも思えないのに、次第に落ちこぼれていくという現象が全国で蔓延しています。この現象を『満点落ちこぼ れ現象』といいます。最大の原因は小学校低学年(小1~小3)での「親子学習」にあるようです。理由は単純です、最も学習習慣が付きやすい小学校低学年(小1~小3)の時期に学習の最も基本となる「他人に質問する」という習慣をつけることが出来なかったからです。「親子学習」とは先生(他人)に質問しない習慣を付けていることと同じです。習慣には「する習慣」と「しない習慣」があります。「しない習慣」は見えないので意識されない事が多いのですが「する習慣」と同様に意識すべきことなのです。「親子学習」には注意が必要です。この他には、やはり表面的な理解に止まっていて深い学習を怠った結果、暗記力と計算力で満点をとっていた子供達が高学年で学業不振になっています。「全ての計算を速くする練習をしてはいけない」のです。速くていいのは10になる足し算と九九だけです。小学校低学年ですべきことは計算を速くすることなどではなく、考える問題を通して深い学習をすることです。低学年で満点でも高学年で落ちこぼれていては本末転倒です。

§1:「分かる」と「できる」
 一昔前に「落ちこぼれ」という言葉が頻繁に使われました。今はあまり耳にしません。少なくなったからではありません。見えにくくなったからです。実は見当もつかないくらい「落ちこぼれ」は増えています。
※見えない理由と伸びない理由の共通点
※分かる→○できる:分かればできる
※できる→×分かる:できても分からない

●素振りだけで上達はしない。
 自動化された動きの特徴としては「スムーズな動き」と「意識や目標が身体から離れる」機械的反復のみで可能なのである。
 しかし、この自動化では欠点や悪い癖も自動化されることになる。そして、自動化されるばかりでなく、それらはより強固なもの(固定化)になって、後でそれらの欠点に気づいても、それを直すことは非常に難しくなっていく。
 ある行為が自動化されることは技を自由自在に使いこなすには必要不可欠で重要なプロセスですが、これは基本であり、応用(本筋)ではありません。技術レベルが上がる本来の上達とは異なる。初歩的な機械的反復だけでは決してきれいな字が書けるようにはならないのである。上達はあり得ないということ。技は機械的反復により「発生→定着→自動化」へと進んでしまう。自動化に至る前に機械的反復ではなく、内観的反復を繰り返していけば、次の段階に移行できるのです。
→→→→(文章問題の材料)→(条件選択+アレンジ)→(創造)
→→→→(計算問題の材料)→(無条件+素通り)→(反射)
論理的思考←言語的思考←知覚イメージ←感覚運動思考

●最も単純なパターン学習である計算問題は速さを増して自動化すると学習とさえも呼べないただの反射になってしまいます。反射ではいつまでたっても文章問題を解けるようにはなりません。反射とは考えないと言うことなのですから。
●文章問題と計算問題が要する力の差
・文章問題
→読解(20-50power)
→イメージ変換(30power)
→イメージ操作(20-40power)
→確認(10power)
→立式(8power)
→計算(2power)
・計算問題
→計算(2power)
※2×50≠100(いつまでたっても文章問題には辿り着けない)
※素振りばかり何度やっても上達しない。ウォーミングアップだけでは練習にならない。
 目を覚まして直ぐに寝ていては何度目を覚ましてもどこにも行けない。
※どんなにトランプを速く上手く格好良くカットできてもゲームに勝つ力は育たない。
※どんなに字を速く書くことができるようになってもよい作文を書く力は育たない。
※どんなにチェスの駒を速く動かすことができるように練習しても強くはならない。
※どんなに計算を速くできるようにしても文章問題を解く力は育たない。全くレベル(次元)が違うのだ。
※いくら「あいうえお」を速く言えても本を理解することはできない。
※異常に速く本を読めても内容を理解できているとはいえない。
※全文をひらがなでかいてあれば小学1年生でも六法全書を簡単に読めるが分からないでしょう。
※過度の機械的反復学習(自動化→反射)による見えない学習障害(ILD)を呈している子どもが異常に多い。
●「できない」方がいい理由:解かっていなければ「できない」方がいい。これは、比喩ではありません。本当に「分かっていない」のなら「できない」方がいいのです。病気なのに症状が出ないことほど恐ろしいことはありません。癌細胞と似ています。
→手を差し伸べることが出来るから「解かっていないと分かるから」
→応用が出来ない状態で進んでしまうと手遅れになってしまう。
→文章問題ができない理由:算数を計算だと思っている勘違い者
●「しない」から「できない」へ
→「考えない頭」は直ぐに「考えられない頭に」成長します。
 ●学力の基本は言葉(文字)のイメージ化です。
§2:できても分からない<実践サンプル>
■「分かっていないのにデキルよりも、分かっていないならデキナイ方がいい」見えないガン細胞を持っているようなものだ。特に算数では計算問題ができていても理解しているとはいいません。 
◆2:人為的学習障害(Artificial Learning Disabilities:ALD)
※参照:スキャモンの発育曲線
※固定化された融通の利かない頭・短絡的思考・能動的に動けない子ども達
「能力開発」の名の下に、実は本来の能力を制限され消滅させられている危険性がある。
    強制反復→自動化→反射→固定化→拒絶→見えない学習障害→人格の歪み
※反射式プリントの害

<反射式プリントの害><自動化→固定化→拒絶→障害>
●反射式プリントを使う○○式について
 私は○○式のプリントをしてみたとき、実際に吐き気を覚えました。そして「何かが違う、どこかが間違っている」と感じました。
 今、私は中学受験を扱っていませんが、去年(2001.3~2002.1)、特別に一人だけ指導した子がいます。国立の教育大学付属小の6年生で、付属中を目指している女の子でした。○○式の数学と英語を続けており、○○式学習者優秀者リストにも顔を出していました。英語に関しては中3程度の内容(Hプリント)を学習していました。○○式の先生からは、できるからと言われて公立高校入試問題集まで渡されていましたが、さっぱり分かっていませんでした。また、文法を殆ど教わっておらず、読解も単語を頼りに日本語力で辻褄合わせをしているだけでした(プリントの至る所に日本語でのヒントがあるので英語を知らなくても答えが出るように仕組んでありました)。数学は機械的に処理するだけで応用が利かない状態になっており、文章問題はどこから手をつけたらいいのかさえ分からない状態で、絵を書くという発想さえありませんでした。これではお手上げです。学校の7月の実力テストで算数は12点(20点満点なので100点満点に換算すると60点)でした。案の定、単純計算だけの得点です。順位は中~中の下で、もちろんこれでは付属中には入れません。8月からは○○式を完全に止めてもらい「分からん帳」だけで受験対応学習を始めました。学校の実力テスト用の設定ではありませんので、当然のことなのですが11月でも算数10点(→50点)でした。さぞ、親御さんは心配されたことでしょう。そして、結果は下記の通りでした。(**→100点換算):国語(18→90点)算数(17→85点)理科(19→95点)社会(19→95点)トップクラスでの合格です。受験とはこんなものです、作戦が正しければ普通の学力さえあれば無理せずに合格できるのです。彼女については現在も指導しています。英語も○○式を止めてゼロから学習しなおしたので、今ではトップクラスの理解力を示しています。おそらく学校の先生よりも英語を理解しているでしょう。彼女は理解力はあったのに理解力を必要としない○○式をしていたので発達を阻害されていたのです。
●「分からなくてもいいから計算を速くさせたい」「子どもの能力を制限し思考を麻痺させ感情を不安定にし受け身の姿勢を作り豊かな発達を阻害してもいいから先行学習をさせたい」というのであれば反射式プリントを続ければいい。私は願い下げです。
 反射式プリントの国語・英語は本文はいいものが多いのですが、設問がよくありません。実は、学習のレベルは設問によって劇的に変化します。同じ本文に対する設問でも「内容を20字前後で要約しなさい」と「○○○は□□がいないことを寂しく思っている」では天と地ほどのレベル差があります。そして、反射式プリントはこの肝心の設問が三流(力を養わない設問)なのです。
英語などはもっと質が悪く、日本語でのヒントが溢れているので何も考えずに正解が出せるのです。算数・数学においては設問にあたる部分は問題数と順番にあたります。やはり、考えなくていいように仕組まれていて三流の問題と言わざるを得ません。目的が違う(学力ではなく反射力をつけるためのもの)と言われればそれまでですが、「分かっていないのにできる」子どもにしたい親などいないはずです。「分かっていないのにできるようになります」と謳ってしまっては誰も相手にはしてくれませんし「できるようになるだけで、分かるようにはならないプリント」を使っていますとは言えないでしょう。「できれば分かるようになる」と説明していますが、現実は全く反対で、できても分かるようにはなりません。さらに悪いことには、できなければフォローの対象になり得るのに、分かっていなくてもできるのでフォローの対象にさえならないのです。
 反射式プリントを使っている組織から進度一覧表がでています。第4地域小5(新小6)進度一覧表(2001年3月末現在)春季号[3学年以上先学習者]のP.45[英語H-160]に現在の教え子であるS子ちゃんが載っています。もちろん、とっくに反射式プリントの教室はやめてもらっています。彼女は全国(英語)で47,118名中373位(0.79%)・福岡で1,665名中13位(0.78%)に位置する子(算数・国語も同レベル)でしたが、その子をして、学習内容はチンプンカンプンで全く分かっていませんでした。では、残り99.2%の子どもたちはどうなっているのでしょうか。考えただけでもゾッとします。
 教育心理学者ブルームは「全ての子どもに確かな学力を(明治図書出版1986)」の中で幼児期を学習にとって極めて重要な時期ではあるが、それを読み書き計算の学習と結びつけることは見当違いも甚だしいと激しく非難しています。
 生物で在れば、どんな刺激にも多かれ少なかれ反応はします。そして、刺激に反応して成長もします。ですが、大切なのは、その成長しているものが良性のものなのか悪性のものなのかということです。癌細胞に栄養を与えていては健全な成長は望めません。お酒で考えると分かりやすいかもしれません。お酒(計算問題)は適量であれば、薬(学力の素)の一つになりますが、過度に与えると毒となり体を蝕み、中毒にしてしまいます。アルコール漬け(計算漬け)にされた体(頭)が回復するのは容易なことではありません。

<速くてはいけない2>
●世界最速の計算方法は「息をとめて行うソロバンの暗算でしょう」ですが、普通の人は息をとめることは出来ても暗算はできません。また、世界最速である必要もありません。計算を速くするには10段往復算をするだけでいいのです。技術的なことを言えば、人は瞬発力を出す時には息を止めなくては力が出ないことを利用した方法で、この練習をすると速くなります。速くなくても正確であれば問題ないのでお勧めはしません。何にでもあてはまるのですが、瞬発力を出すためには息を止めなくてはいけません。計算問題は頭を肉体と考えて稼動させることで機械的な処理を行うことなので、肉体の運動と同じ結果を得ることが出来ます。こんな当たり前のことも「計算呼吸法」などといって得意げに誰かが発表するかも知れません。

●暗算の欠点は記録に残らないということ。目で確認できないということだ。

●速さは無意識・無思考を要求する。実践すれば直ぐに体験できる。こんなことを毎日していると習慣が固定化され性格になる。何も考えずに(短絡的に)行動するようになる。

●Kのパンフレットから(2002.8/26に送られてきた案内)
「何度もくり返して練習することで、さらに高いレベルの学習に取り組む力がついてきます」→高いレベルの学習とは複雑な計算手順を覚えること?
「必要なときに、必要なところを、必要なだけ学習し、どのお子さまもスラスラできるまでの力をつけながら、次のステップへと確実に進んでいく」→分からなくてもスラスラできれば次へ進むということ?
「問題を解き、訂正する中で、思考力は鍛えられます」→計算手順の確認作業だけでは思考力は育ちません。育っていない思考力は鍛えられません。
「ちょうどの学習ができるように、数千段階にもおよぶきめ細やかな教材を開発」→指導者がいらないように、あるいは分からなくてもできるように、ヒントを全て書き込んであるプリントを用意したということ?
「学年レベルを越えて学習していく中で、未知の課題にも取り組む姿勢はさらに高まります」→新しい計算手順を覚えるだけで、次の学年に行ってしまうので理解できていない部分が増加するいっぽうです。理解できていないと、未知の課題に取り組む姿勢などは出てこないどころか、手順が分からないものには拒否反応を示すようになります。
●本来の目的にあった使い方をしないと本来できることもできなくなってしまう。工夫すること・考えること・感動すること・楽しむこと等は人間本来の能力なので~
●反射式プリントの代わりにどんぐりプリントを使えばいい。HPから無料で利用可能です。経費もかからないので、子どもを思う心さえあれば今すぐにでも実行できます。ただし、反射式とは違って指導者が必要になります。だから、教室の経営者がキチンとした指導者になればいい。指導方法は子どもが教えてくれます。

●生物で在れば、どんな刺激にも多かれ少なかれ反応はします。そして、成長もします。ですが、大切なのは、その成長しているものが良性のものなのか悪性のものなのかということです。癌細胞に栄養を与えていては健全な成長は望めません。お酒で考えると分かりやすいかもしれません。お酒(計算問題)は適量であれば、薬(学力の素)になりますが、過度に与えると毒となり体を蝕み、中毒にしてしまいます。アルコール漬け(計算漬け)にされた体(頭)が回復するのは容易なことではありません。
●計算は攻撃であり、読解は受容である。

K式の最大の欠点は考えなくても答えが出てしまうようなヒントだらけの仕組みにあります。こういう仕組みだから一人でできるのであって自学自習とは全く違います。K式の本文や計算そのものは決して悪くはないのですが、考える設問を作ってしまうと、本当の指導者が必要になるので教室運営ができなくなるのです。
●仮性学習障害:一時的学習障害:後天性学習障害(ALD)
●その子だけのために人が対応すること:人間より優れたものはない:どんな幼児教材・早期教育教材よりもお兄ちゃんお姉ちゃんが上
●目隠しをされた早期教育:
 早期教育はアメリカが最先進国である。しかし、その最先端の情報は日本ではあまり知られない。なぜならば、今の早期教育に携わる殆どの人々の職を奪うことになるからだ。つまり、早期の系統的教育はその子の能力を開発するのではなく制限し、才能を断ち切り、攻撃的にする。

●反射的プリント学習を勧める時に言われる「計算をしていれば、その計算の意味は後で理解できる」つまり「できれば、分かる」と本当に思っているのだろうか?そんなことは思えない。実際にやってみて下さい。
<比較手順:計算問題vs文章問題>
1.計算問題だけを50問、月~土まで毎日続ける。(300問)【絵図】
2.日曜日に、月~土までにやった計算を使う文章問題をさせる。【絵図】
 時間と反応を記録する。
3.文章問題だけを1問、月~土まで毎日続ける。(6問)【絵図】
4.日曜日に、月~土までにやった中で使った計算問題をさせる。【絵図】
 時間と反応を記録する。
5.時間と反応を比較する。
<比較手順:分数での割り算:できると分かるvs分かるとできる>
1.整数÷分数を手順【絵図】だけを教えて100問させて答合わせをする。【絵図】
2.整数÷分数の意味を聞く。説明を記録する。
3.整数÷分数の理由を説明【絵図】して手順【絵図】を教え10問させて答合わせをする。【絵図】
4.整数÷分数の意味を聞く。説明を記録する。
5.説明と答えの正答率を比較する。

●自動化は放置すると固定化する。
・読まない→読めない
・見ない→見れない
・話さない→話せない
・動かさない→動かせない
・考えない→考えられない


<できると分かる>
●算数:できても分からない
    かけても分からない
●国語:読めても分からない
    かけても分からない
※文章題の書き写し宿題→4重の間違い!
●本読み上手の本嫌い
●文字知りの言葉知らず

●K式障害:基本的には一過性のものなので(始めた時期と年数では固定化することもある)修正するのに遅いということはないが、費やした時間に比例して回復は難しくなる。遅すぎると固定化してしまって性格の一部を形成する。
速さが必要な場合は、短期間(1ケ月程度)に集中して練習するだけならよい結果を得ることもありますが、その場合でも応用の利く問題だけに絞って練習する必要がありますので、そのままのプリントは使えません(無駄が多すぎて、反射になる恐れがある)。

●計算問題(特に反射式プリント)ばかりをやってきた子ども達が文章問題に取り組むときの反応<実践サンプル>1~6※必ず実践してみて下さい
1.「分かんない」と読もうともしない。(重傷)←計算以外を受け付けない
※考えるように言う
2.数字あわせをする。(重傷)←文脈を無視して数字を使ってデタラメな計算する
※考えるように言う
3.「足し算?引き算?掛け算?割り算?」と聞く。(重傷)←考えないで手順だけで処理しようとする
※自分で考えるように言う。
4.様々な計算をして偶然に答が出るまで計算する。(重傷)←計算でどうにかなると思っている
※良く読むように言う。
5.頭だけで答えを考えて、文章を追っていけないと「難しい」と言う。←考え方を知らない
※絵を描くように言う
6.読み直すがいい加減な絵を描く。←絵を描く意味を分かっていない
※書いてある通りの絵を描くように言う
7.数字の入っていない絵を描く←絵を使って解くことを知らない
※数字を書き込ませる
8.描いた絵を見ないで考え出す。←目で考えることを知らない
※絵で考えるように言う
9.絵の操作が出来ない。←何を求めるために絵を描いたのか分かっていない
※操作の仕方を教える「こうかいて、こうすると、何が見える?何が分かる?」
10.目で分かると「簡単じゃん」といって式を書く。←目で考える力を意識できていない
※必ず式と筆算を書かせる。間違っても消しゴムは使わせないで、横に書き直す。
11.計算する。←暗算でやろうとする(九九以外は暗算厳禁)
※必ず式と筆算を書かせる。間違っても消しゴムは使わせないで、横に書き直す。
12.答を書く。←式と答えは分けて書く(筆算も必ず書く)
※単位を忘れずに書く。
◆計算問題だけをしている子ども達は1~10までの大事な行程を全くやっていません。11・12の行程だけをどんなに速くできても力にはなりません。
2002.8/23
§1:スキャモンの発育曲線の正しい見方

 <大脳発達曲線が示す本当の意味> 幼児期の驚異的な大脳の発達は、単純化された知的で系統的な教育(知的早期教育)を処理するためのものではなく、豊かで複雑な体験的学習を受け入れるための発達なのです。 
※成長と発達の違い
※理論(早期教育・幼児教育・英語教育)の不自然さ
●<スキャモンのデータ解析結果>
※<増殖率>は年間5%の増加を成長期の基準(100%)として示した変化の割合の%表示したもの
※<エネルギー消費割合>は各部位÷(頭+体)の割合を%表示したもの←成長に伴って全体のエネルギーは増加しているのだから各部位に使われているエネルギーも全体を基準にした値でなくては正しく表せないからです
※<成長度><増殖率><エネルギー消費割合>を考えると頭は9才児でエネルギーを最大に消費する→具象から抽象への飛躍ポイント

 年齢  体の成長度    エネルギー      頭の成長度
    (一般型)増殖率<消費割合>増殖率(神経型)
22……………100%……………………………………100%
21才児 ●●●●●000%<50…50>000%●●●●●(安定期)大4
21……………100%……………………………………100%
20才児 ●●●●●000%<50…50>000%●●●●●(安定期)大3
20……………100%……………………………………100%
19才児 ●●●●●020%<50…50>000%●●●●●(安定期)大2
19……………099%……………………………………100%
18才児 ●●●●●020%<50…50>000%●●●●●(安定期)大1
※体の鍛練期の始まり(力強くする)
18……………098%……………………………………100%
17才児 ■■■■■060%<49…51>000%●●●●●(安定期)高3
※体の融合期(知識と技を融合させる:理論と実践:イメージを具現化する)
※イメージ通りの動きを出きるようにする(技術的ピークをここに合わせる)
17……………095%(転換期)…………………………100%
16才児 ■■■■■080%<49…51>000%●●●●●(安定期)高2
16……………091%……………………………………100%
15才児 ▲▲▲▲▲220%<48…52>000%●●●●●(安定期)高1
15……………080%……………………………………100%………………………
14才児  ▲▲▲▲300%<44…56>010%●●●●●●(安定期)中3
14……………065%……………………………………099.5%
13才児  ▲▲▲▲160%<40…60>010%●●●●●●(安定期)中2
13……………057%……………………………………099%
12才児  ▲▲▲▲100%<37…63>020%●●●●●●(安定期)中1
※頭の成長が完了するので体の再加速が始まる
※頭の鍛錬期の始まり。これから3年間が知的教育を最も消化できる時期。
12……………052%……………………………………098%………………………
11才児  △△△△080%<35…65>020%■■■■■■■(熟成期)小6
11……………048%……………………………………097%
10才児   △△△060%<33…67>020%■■■■■■■(熟成期)小5
10……………045%……………………………………096%
9才児   △△△060%<32…68>020%■■■■■■■(熟成期)小4
※本格的な思考(抽象概念の操作)の始まり(できるだけパターン学習は避ける)
※中学受験ではこれからの3年間を2~2.5年間に縮めて最後にパターン学習で対応する
9……………043%……………………………………095%(転換期)……………
※正常に熟成されていると、ここで具象思考から抽象思考への飛躍ができる(9才の壁)
8才児   △△△020%<31…69>020%■■■■■■■(熟成期)小3
8……………042%……………………………………094%
7才児   △△△020%<31…69>040%■■■■■■■(熟成期)小2
7……………041%……………………………………092%
6才児   △△△020%<31…69>040%■■■■■■■(熟成期)小1
※これから3年間(具象操作の時期)を短くはできない。十分な体験的学習が必要。
※体験的学習は限りない情報をもたらすので、代わりになるものがない。
6……………040%……………………………………090%………………………
5才児   ◎◎◎000%<31…69>040%■■■■■■■(熟成期)年長
※体の成長を止めてまで頭にエネルギーを使う必要がある時期。
※言葉を操るための理論付けをするという思考の源を作る時期。
5……………040%……………………………………088%………………………
4才児   □□□040%<31…69>120%▲▲▲▲▲▲▲(急成長期)年中
※言葉の獲得時期
4……………038%……………………………………082%
3才児   □□□060%<32…68>280%▲▲▲▲▲▲▲(急成長期)年少
※言葉の獲得時期
3……………035%……………………………………068%
2才児   □□□100%<34…66>360%▲▲▲▲▲▲▲(急成長期)
※音から言葉への飛躍をする時期
2……………030%……………………………………050%………………………
1才児  ▲▲▲▲200%<37…63>400%▲▲▲▲▲▲(急成長期)
※頭の基礎ネットワークを作る時期
1……………020%……………………………………030%
0才児     ▲▲▲▲400%<40…60>600%▲▲▲▲▲▲(急成長期)
※頭の基礎構造を完成させる時期(余計な刺激は禁物)
0……………000%……………………………………000%………………………

●上記のデータから分かることは
1.頭は4~5才から成長期に入る。
2.頭は5~6才でピークを迎える。
3.頭は6~12才まで成長を続けるが、9才で飛躍点(転換期)をむかえる。
4.頭は12才で大人と同じ思考ができるようになる
5.体は2~3才で生命維持のための体力を付ける。
6.体は3~12才までは必要最小限の成長しかしない。
7.体は12~16才で飛躍のための準備を整える。
8.体は16才で成熟期に入る。
9.体は17才で飛躍点を迎える。
10.体は18才で完成する。


00-03:受容期間:感じること:音・感覚・快不快
03-06:消化期間:味わうこと:音→言葉・感覚→イメージ・快不快→好き嫌い
06-09:熟成期間:確認すること:言葉→理論・イメージ→イメージ操作・好き嫌い→善悪
09-12:転換期間:飛躍すること:具象の世界→抽象の世界
12-15:吸収期間:処理すること
15-18:再構築期間:自分の世界を作ること
18-21:表現準備期間:社会との関わり方を決めること
●お伽噺や空想物語の効用→仮定条件→家庭の了解→抽象世界への誘い(飛躍の下準備)
●体を使った遊びは具象の理解の絶対条件→イメージ作りの素→
「鉄は熱い内に打て」"Strike while the iron is hot." 
●日本刀を作るには、皮鉄(かわがね)、刃鉄(はがね)、心鉄(しんがね)を要します。皮鉄・刃鉄は刃先になる部分なので硬くて粘り強く鍛えます。心鉄は芯になる部分なので強い衝撃を受けても折れないように軟らかくてしかも丈夫に鍛えます。その後、「造り込み」「素延べ」「火造り」「焼き入れ銘切り」と続くのですが、焼き入れ前の刀身は、ただの鉄の棒です。刀になるのはこれからなのです。生まれて直ぐに刀として完成するわけではないのです。内部構造が出来上がっても仕上げには時間がかかるのです。
●指導の基本は子どもの知的発育状態を見極めることです。そうすれば、集団指導の中でも個人的な指導がある程度はできます。※人数と学力のばらつきによって限度が変わりますが、平均して12人が限度です。
●健全な子育て・健全な学習
全ての神経はどんどん繊細になっていき12才までにはほぼ完成(分化完了)する。これであらゆる刺激に耐えられる準備ができるのです。ここからは無理ができます。鍛えるならここからです。ガンガン鍛えましょう。
●人間の頭の発達は環境適応までに12年間を要する。従って12才以降が頭の鍛錬期となる。「鉄は熱い内に打て」と言われるが早すぎても砕け散るだけで何も出来ない。人間で言えば12~15才が最適な頭の鍛錬期です。

<スキャモンの発育曲線が示す意味>
 大脳の発達は言葉を獲得し、具象の世界から抽象の世界へと飛躍するための(人間になるための)発達であって、単純化された系統的知的教育を受けるための発達ではありません。豊かで複雑な体験的学習を受け入れるための発達なのです。知的早期教育を高度な教育と勘違いしている人がいるようですが、実は全く反対で、知的早期教育は体験的学習の足元にも及ばないほど幼稚で単純なものです。知的早期教育が提供する内容は誰でも完璧にマスターすることができます。しかし、大切な体験的学習をする時間を裂いてすべきことではありません。カードを使って100個の言葉を覚えさせるよりも、手を握って「暖かいね」と微笑んであげる方が何千倍も素晴らしい教育なのです。
 人間は、あらゆる言葉を話すことができる。というより、言葉を操れるようにできている。しかし、だからといって、全ての言葉を話す必要はないし、意味もない。つまり「能力がある・できる」ということと「すべきこと」とは異なるということです。なぜなら、時間は無限に与えられているわけではないし、しなければいけない時期というものがあるからです(第一言語の臨界期もこのことを示しています)。


§2:スポーツ障害と人為的学習障害
※成長期の刺激は障害をもたらす(細胞の発育過程は同じ)

◆言葉:イメージの発生→イメージの操作→イメージの確認→イメージの応用→イメージでの推論
◆小6の夏休みに洗濯物を干しながら、分数での割り算が逆数でのかけ算になる理由を教えてみると1分ほどで応用と説明ができた。
●文章問題に必要な力:
イメージ化+推察力+イメージの移動による推察の確認+確定(決断力:自分を信じる力)+理論付け(まとめて立式する)+計算(反射:力はいらない)
●算数・数学の基礎とは何か
 算数・数学といえども殆どの問題は文章問題です。そして、計算はその文章問題の中の一部としてあるだけです(入試も同じ)。すると、基礎とは読解力ということになります。ところが、算数・数学や理科は専門用語を使いますので国語とはちょっとだけ違います。国語が得意なのに算数・理科が苦手な子は言葉を全て普通の国語と思っているからです。算数語(数学語)・理科語を勉強すればいいのです。例えば数学なら「比例している→y=axの式を使って考えなさい」理科なら「完全に反応した→この時の値を反応比として考えなさい」ということです。つまり、算数語や理科語は読みながら翻訳する必要があるのです。そして、計算はオマケです。オマケばかり集めても本体はいつになってもできあがりません。
<タイミング>
●成長期のスポーツ障害を避けるためには筋力系のトレーニングは筋肉の発育が停止したときから始めるのが良いことが知られている。つまり、小学生の時代にハードな体力トレーニングをすることはあまり意味がないということです。それどころか、この時期にあまり激しい負荷をかけたトレーニングをすると、スポーツ障害(オスグッドシュラッター病、踵骨々端炎、腰椎分離症など)の原因にもなるわけです。 
●スポーツばかりではなくピアノも同様です。平成4年にドイツ国立ブレーメン芸術大学音楽部門専攻課程ピアノ科を首席卒業した中島裕紀さんは「各トレーニングにはそれを行うべき適切な時期があります。骨の成長が続いている時期に本格的なトレーニングを行っても効果はなく、成長に悪影響を与えることにもなりかねないので、筋力トレーニングは身長の成長の速度のピークが過ぎてから行わなくてはなりません。
●もちろん、学習も同様です。
●タイミング(学習内容と時期)
 時期が大切。「何をするか」ではなく「いつ・どのようにするのか」が大切。これを間違えると「全てが水の泡」ex.読み聞かせは小3まで続ける→理由
●95%以上(できれば98%以上)の発達度ならば、ある程度の負荷を跳ね返す基礎力ができている状態とみていいので、無理をするのならばこの時点がもっとも効果的です。健全に発達しているのであれば○○才に相当します。逆に発達が遅れているときに負荷をかけると今までできていたものを壊してしまう恐れがありますので要注意です。土台のコンクリートが固まっていないうちは、その上に柱を立てることはできません。
●十分に読み聞かせをすると、自然に毎日はしなくてもいいようになります。満足すると自然に収まります。逆に言うと自然に収まるまで続ける必要があるということです。自然にとは自然と同様であること。つまり、豊かでありながら強制しないと言うこと。

◆3:やってはいけない11の家庭学習+右脳教育
※よい学習習慣・悪い学習習慣
※学習習慣は付けばいいと言うものではない

§1 :高速学習<理由と改善策>※読みと計算は速くてはいけない。
◆高速学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 速くて悪いことはないと思っている人が大勢いらっしゃいますが、速くてはいけないこともあるのです。特に、考える力を養成すべき時期には速さは大敵となるのです。「作業と思考は反比例する」ということをご存知でしょうか。例えば、単純作業を速くやろうとする場合を考えてみて下さい。単純作業を速くやるには何も考えないで作業に没頭する必要があります。また、速い作業をしている時に何かを考えようとしても考えられません。つまり、速い作業は考えることを妨害する作用があるということです。この基本的な作用を頭においたうえで小学校低学年の家庭学習の方法を見直すと、高学年で伸びる子供・考える力のある子供の育て方が自然に分かると思います。小学校低学年の時にしなければいけないことは「考える力」と「正しい家庭学習の習慣」を身につけることです。そして「考える力」を養成するためには、できるだけ条件反射の養成となる高速の機会的反復作業をしないことです。具体的には計算等でスピードを競うことは最もいけないことです。スピードをつけることはいつでもできますが、ゆっくりジックリ丁寧に考えるという習慣はなかなかつかないものです。 さらに、考える力のない子は小4からの抽象概念の世界を理解すること自体が難しくなりますので、全教科で落ちこぼれる可能性が出て来ます。また「分かる」と「できる」とは必ずしも一致していないことも知っておくべきです。手順をまねて答えを出しているだけの「できる」では、いつまでたっても「わかる」状態にはなりません。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「一日(一週)一題文章題」を実行する。※「どんぐり倶楽部」の文章題教室で実践中!#【目次】【総索引】
●高校入試までの計算は何も考えずにできる作業にすぎません。ですから、誰でも訓練すれば速くなります。しかし、正確でさえあれば速さを要求されることは殆どありません。入試でも同じです。入試でも、立式までが大変なのであって計算そのものを数多くさせることはありません。
●子育てにおいては毎日のお母さんの言動そのものが教育そのものです。特別なものは不要です。

●私は○○式だけをしていて応用力のある子に出会ったことは一度もありません。逆に、基礎力はあるのに驚くほど応用力がなく融通が利かない子どもには数多く会いました。このことを私は危機感を持って感じました。機械的な反復思考は子どもの能力や才能を潰しているのではないかと思ったのです。
●最もよくないのは人為的に作られた一方通行のビデオ・CD・フラッシュカード・ドッツカード等で、これらは全て反射を形成します。反射による学習は言葉を獲得する前の知的発達段階で行われる形式です。従って、この反射の形成を成長期に続けることは見えない学習障害(ILD)を引き起こす最大の原因となります。成長を妨げる第一要因です。理由は簡単です。単純すぎるのです。本当の海を感じて海を知る場合と、海の写真や文字を見て海を知る場合とでは情報量が桁外れに異なります。また、幼児期に大切なのは豊かであることと同時に強制的でないこと不快でないことです。自然は計り知れないほど豊かですが何の強制もしません。

※自動化→反射→固定化→拒絶→発育障害(計算が速くてはいけない理由)
●速くてはいけない:速さを要求することは強制することです。特に、低年齢児への強制は受動的・否定的・閉鎖的・短絡的・発作的・反射的な悪影響ばかりを与えます。不快・不満の素にもなります。
●「速くてはいけない」計算や読みが速いは要注意!  
→山道を登る(あるいはマラソンをする)のに短距離走の練習をしていては成果はでません。
危険な速い計算 計算が速くて悪いことはないと思っている人がいる。大間違いである。特に小学校低学年で速い計算を算数そのものだと思わせるような指導は論外である。  大人でもそうだが、計算を速くしようとすると、頭の中では思考がストップする。計算が作業であり思考ではないからだ。作業と思考は反比例の関係を示す。単純作業を見ても分かるが、作業を速くしているときは何も考えていない。考えていては作業が遅くなるからだ。つまり、速い作業をする時に頭の中では「考えるな」という指令が出ているということだ。計算も同様のことが言える。計算が異常に速い子は何も考えていない。ただ、数字を追い、条件反射的に処理しているだけだ。そこには数学に通じるものは何もない。単純作業が速いというだけの事だ。小学校低学年は学習習慣が身につく時期である。この時期に計算中心の学習をさせて、考えない習慣を付けてしまうことほど恐ろしいことはない。勉強の一環だからと言っても計算は単純作業の代表格である。計算の理屈が分かり、遅くても正確にできればそれ以上はやらせてはいけない。計算は数学のほんの一部を占めているにすぎない。また、文章題の中に計算は必ず入っているが計算の中に文章題は入っていない。どちらをすべきかは明白である。計算の速い子には注意すべきである。
:速くてはいけない!(計算が速くてはいけない理由)━━━━━━━━━━━━━━━
 速くて悪いことはないと思っている人が大勢いらっしゃいますが、速くてはいけないこともあるのです。特に、考える力を養成すべき時期には速さは大敵となるのです。「作業と思考は反比例する」ということをご存知でしょうか。例えば、単純作業を速くやろうとする場合を考えてみて下さい。単純作業を速くやるには何も考えないで作業に没頭する必要があります。また、速い作業をしている時に何かを考えようとしても考えられません。つまり、速い作業は考えることを妨害する作用があるということです。この基本的な作用を頭においたうえで小学校低学年の家庭学習の方法を見直すと、高学年で伸びる子供・考える力のある子供の育て方が自然に分かると思います。
 小学校低学年の時にしなければいけないことは「考える力」と「正しい家庭学習の習慣」を身に つけることです。そして「考える力」を養成するためには、できるだけ条件反射の養成となる高速の機会的反復作業をしないことです。具体的には計算等でスピードを競うことは最もいけないことです。スピードをつけることはいつでもできますが、ゆっくりジックリ丁寧に考えるという習慣はなかなかつかないものです。さらに、考える力のない子は小4からの抽象概念の世界を理解すること自体が難しくなりますので、全教科で落ちこぼれる可能性が出て来ます。また「分かる」ことと「できる」こととは必ずしも一致していないことも知っておくべきです。手順をまねて答えを出しているだけの「できる」では、いつまでたっても「わかる」状態にはなりません。
 では、深い学習とは、どんな学習でしょう。
 現在の算数の教科書では小2で長さの単位(cmとmm)を学習するのですが、長さの基準となっているm(メートル)の学習はしません。基準を学ばないと「1cm=10mm」という換算を何の脈絡もなく覚えなくてはいけなくなります。そして、ひたすら計算問題を繰り返すのです。長さの単位を理解するのではなく、暗記するわけです。一方、深い学習では、まず基準となるm(メートル)を教えます。mができた過程(歴史)を教えるだけでも大変面白く興味をそそるものです。次に、単位の構造を教えます。単位の構造は 次の言い回しで覚えます。「キロキロ(k)とヘクト(h)デカ(d)けたメートル(m)がデシ(d)におわれてセンチ(c)ミリミリ(m)」これは単位に使われている主な記号を覚えるための語呂合わせですが大変良くできていて、k(1000倍)、h(100倍)、d(10倍)、m(基準)、d(1/10倍)、c(1/100倍)、m(1/1000倍)を表しています。この時点で当然倍数の概念も理解させます。このような深い学習をすると、あらゆる換算を何の苦労もなくできるようになります。
 このような深い学習こそが高学年での伸びを促すものなのです。そして、このような学習は、学習項目が少ないにもかかわらず全ての基礎を学ぶ小1~小3の間にする必要があります。なぜなら、この時期の深い学習が小4以降の伸びを決定するからです。小学校低学年で学習内容が簡単だからといって得意気に部分的先行学習(特に算数の計算問題)をしている子供を多く見かけますが、成果は高学年で文章題が分からない学力不振に結びつくことが多い様です。(最も危険な学習方法です)
#●参考資料<単位換算表>:小2で学習します
「キロキロ(k)とヘクト(h)デカ(d)けたメートル(m)がデシ(d)におわれてセンチ(c)ミリミリ(m)」全学年用カタカナ

「泳いでけ、キ(k)ハ(h)ダ(D)マグロ(m,g,l)よど(d)こ(c)ま(m)でも」高学年用ローマ字
「日はめぐり (メートル、グラム、リットル)、100キロ(キロ)先で(デシ)セ(センチ)ミ(ミリ)がなく」低学年用カタカナ
     キロ  ヘクト   デカ    基準    デシ  センチ   ミリ
     k    h     d     m     d    c     m
   ×1000  ×100   ×10   ×1   ×1/10  ×1/100 ×1/1000
   ┼───┼───┼────┼────┼────┼───┼───┼─
     km            m         cm   mm
     kl              l     dl     cl    ml
   ┼───┼───┼────┼────┼────┼───┼───┼─
     5   3   2     2     0    1   1
     0   2   5     7     9    0   0
     2   5   9     8     4    1   2
     3   3   4     0     0    0   1
   ┼───┼───┼────┼────┼────┼───┼───┼─
◆この表で分かること
  5.322011km =5322.011m=532201.1cm =5322011mm
  5.322011kl=5322.011 l=53220.11dl=532201.1cl=5322011ml
  0.2579km =257.9m =25790cm =257900mm
  0.2579kl=257.9 l=2579dl =25790cl=257900ml
  2.598412km =2598.412m =259841.2cm =2598412mm
  2.598412kl=2598.412 l=25984.12dl =259841.2cl=2598412ml
  3.340001km =3340.001m =334000.1cm =3340001mm
  3.340001kl=3340.001 l=33400.01dl =334000.1cl=3340001ml
◆この表を使うと実際には使われていない単位まで簡単に作ることができます
     1.234567km(キロメートル)
    =12.34567hm(ヘクトメートル)
     =123.4567dm(デカメートル)
     =1234.567 m(メートル)
     =12345.67dm(デシメートル)
     =123456.7cm(センチメートル)
     =1234567mm(ミリメートル)#
#●補足説明[質問が多かったので捕足説明しておきます]
 算数の九九は国語でいう「あいうえお」の読みです。従って、無意識にできるくらいに慣れて
 おく必要がありますし、ある程度の速さも要求されます。
 しかしながら、九九とあらゆる計算を速くしようとすることとは全く異なります。
 あらゆる計算を速くしようとすることは国語でいうと内容を考えずに文章を読み飛ばすという
 最悪の習慣を一生懸命につけていることになります。
 確かに見栄えはいいでしょうがなんの役も立っていません。長距離ランナーが最初の3秒だけ
 を格好良く走る練習だけをしているくらいに的外れなことです。
 読み飛ばす習慣がついた子は精読ができません。忍耐力がなく考えるための集中力が続かないの で、すぐに「分からない」と言って投げ出します。
●捕足説明2
 「速くてはいけないのか?」→これまでの考察で正確であれば速い必要がないことは分かってい
 ただけたと思います。では次に「速くてはいけないのか?」ということですが、正確であれば速
 くて悪いことはないので、練習の時期を間違えないようにすることです。小3~小4までに思考
 回路が飛躍的に発達することは様々な研究で分かっています。従って、この時期に単純作業であ
 る計算の高速化をさせてはいけないということです。自ら思考回路を作る余地をなくしているこ
 とになります。計算のみの練習は小5~小6の一定期間を使って集中的にするといい結果が出ま
 すし期間も短くてすみます。ただし、3ケ月以内に文章問題に戻ることです。計算は楽なので楽
 な方に慣れると戻れなくなります。
●捕足説明3
 思考回路は言葉のイメージ化の練習を通して作られます。そして、最も簡単で効果的なイメージ
 化の練習は文章を図形化(記号化)したものを目を通して操作する「目で考える」練習です。

●高校入試までの計算は何も考えずにできる作業にすぎません。ですから、誰でも訓練すれば速くなります。しかし、正確でさえあれば速さを要求されることは殆どありません。入試でも同じです。入試でも、立式までが大変なのであって計算そのものを数多くさせることはありません。
○○式の最大の欠点は考えなくても答えが出てしまうようなヒントだらけの仕組みにあります。こういう仕組みだから一人でできるのであって自学自習とは全く違います。○○式の本文や計算そのものは決して悪くはないのですが、考える設問を作ってしまうと、本当の指導者が必要になるので教室運営ができなくなるのです。
●私は○○式だけをしていて応用力のある子に出会ったことは一度もありません。逆に、基礎力はあるのに驚くほど応用力がなく融通が利かない子どもには数多く会いました。このことを私は危機感を持って感じました。機械的な反復思考は子どもの能力や才能を潰しているのではないかと思ったのです。
●最もよくないのは人為的に作られた一方通行のビデオ・CD・フラッシュカード・ドッツカード等で、これらは全て反射を形成します。反射による学習は言葉を獲得する前の知的発達段階で行われる形式です。従って、この反射の形成を成長期に続けることは見えない学習障害(ILD)を引き起こす最大の原因となります。成長を妨げる第一要因です。理由は簡単です。単純すぎるのです。本当の海を感じて海を知る場合と、海の写真や文字を見て海を知る場合とでは情報量が桁外れに異なります。また、幼児期に大切なのは豊かであることと同時に強制的でないこと不快でないことです。自然は計り知れないほど豊かですが何の強制もしません。
●反射による成長不良
→「見えない学習障害(Invisible Learning Disabilities:ILD)」
→大声を出す・「わからん」で考えようとしない・キレル
→忍耐力の欠如
→短絡思考→短絡的犯罪・自殺

§2 :先行学習<理由と改善策>
◆先行学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 先行学習より潜行学習(深い学習)が大切です。小学校低学年の学習項目は表面的には極端に制限されています。しかし、それは表面的にはということで実は少しでも応用が利くように深い学習をしようとすると時間が足りません。ましてや、表面的なことをマスターしただけで先行学習(高学年の学習)に移ることなどは全くのナンセンスです。小学校低学年の算数の教科書で見てみましょう。低学年の教科書では、計算に関しては何度も教科書の中に復習項目があるので特別な家庭学習をすることもなく理解できる構造になっていますが、その他の項目はかなり簡潔に説明されています。
 ところが、この計算以外のことを深く理解することが高学年で伸びる必要条件となっているのです。例えば、文章を記号化するイメージ力の養成や単位の構造の理解などです。先行学習でツギハギだらけのつながりの見えない知識だけを増やしても、結果は子供に負担をかけるだけで応用力(考える力)をつけることなどできないのです。低学年での学習項目が極端に少ない本当の理由をよく理解して家庭学習に役立てて下さい。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
良質のテキストを使った深い学習を心掛ける。
※単純化→浅い学習→応用の利かない(先行学習ではなく深い学習をする)
<深深度学習>小学生の子供に在籍学年の学習項目が少なく簡単だからという理由で先行学習をさせる親がいますが、いかがなものでしょうか。特に小学校低学年の間に高学年の内容をさせる場合は要注意です。  実は、先行学習をしている時間などありはしないのです。日本の教科書はかなり高度なことをサラッととても簡単に書いてあります。その表面的な部分だけをなぞって学習を終えていると後で手痛いシッペ返しをくいます。いい例が単位の換算です。単位の換算を習得するには単位の記号の意味や単位の基準や倍数の意味や数字の構造などの理解が必要です。ところが教科書には、それらの説明はなく結果だけが示されています。これでは応用の利く学習は不可能です。「キロきろと/ヘクトデカけたメートルが/デシにおわれて/センチミリみり」この数学短歌をご存じの方がどれだけいらっしゃるでしょうか。単位の記号が7種類入っています。キロは千倍、ヘクトは百倍、デカは十倍、メートルは長さを表す基準値、デシは十分の一倍、センチは百分の一倍、ミリは千分の一倍という全ての単位の学習に通じる基礎です。こういう学習を深深度学習といいます。今教科書で習っている項目に関することを深く学ぶのです。こうすることで応用の利く学力が身につくのです。すべきことは先行学習ではなく深深度学習です。
●学力とは応用の利く基本を見につけ、未知の問題に対しても工夫と努力で解決していこうと考える力のことである。

●機械的な反復(反射)の速さを指して学力とは呼べない。
 学力とは観察力・イメージ力・読解力・忍耐力・集中力・等の処理能力の総称
●直線の式は実は直線ではなく座標上のある一点を示しているに過ぎない。また変域を指定されている場合は、それは線分を表している。

§3 :垂流学習<理由と改善策>
◆垂流学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 やってる割には思うような結果にならないという声をよく耳にしますが原因の98%以上が「タレナガシ学習」です。<●問題集をする⇨●答え合わせをする⇨●復習する>で終わってしまっている人は「垂流学習」をしていると言っていいでしょう。効果的な学習とは間違った問題を記録しておき3ヶ月~1年後に再度復習して理解できているかどうかを確 認することが基本中の基本です。つまり、その場だけの理解の確認ではなく理解の定着の確認が必要なのです。
 そして、この理解の定着が実力なのです。多くの人は1度間違った問題は、また間違います。ですから、間違った問題を直ぐに復習して理解したと思い込み、復習する機会をなくしていては実力の伸びはないのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「分からん帳」を作る。【目次】【総索引】

※苦労が報われない形だけの学習

§4 :圧縮学習<理由と改善策>
◆圧縮学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 一定量の問題を消化しさえすればいいと思っている人がいますが大間違いです。確かに、小学校低学年の問題は1週間分を1日(人によっては1ヶ月分を1日)で消化することも可能です。ですが、それは絶対にやってはいけないことなのです。小学校低学年ですべきことは「考える力」と高学年でも通じる「正しい家庭学習の習慣」を身につけることです。そして、高学年でも通じる「正しい家庭学習の習慣」の一つは、毎日学習することです。ですから、量としては
 1日でできることでも7日あるいは5日に分けて学習することが大切なのです。なぜならば、低学年で週に1日しか勉強しない習慣が付いてしまうと、高学年になって難しくなったからといって週に5日勉強するようには絶対になりません。ところが、低学年の時から週に5日勉強する習慣を持っている子は、高学年の学習量に対応した家庭学習が可能になるのです。簡単な学習内容でも毎日できない子が難しい学習内容を毎日できるわけがありません。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
少ない量でいいから、毎日「ゆっくりジックリ丁寧に」学習する。
※高学年で対応できない悪い習慣
※習慣は3年先を考える
●「内容が簡単でもまとめてやって はいけません」
→まとめ学習はすぐに限界になる→高学年で対応できない

§5 :宿題学習<理由と改善策>
◆宿題学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 宿題には良い宿題と悪い宿題があります。そして、現在では良い宿題を出してくれる先生は数えるほどしかいないのが現状です。もしも、自分の子供の宿題が「おそまつ3点セット」と呼ばれている3点「教科書の本読み」「漢字の書き取り」「計算ドリル」が中心となっているようならば、少し工夫する必要があります。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「教科書の本読み」は「絵本の本読み」に「漢字の書き取り」は「漢字読本の読み」に「計 算ドリル」は「一日(一週)一題文章題」に変更する。【
※よい宿題・悪い宿題※お粗末3点セット
※宿題は使い方次第で、毒にも薬にもなる(やればいいというものではない)

■「良い宿題・悪い宿題」
→宿題は変えてもらうもの
→「お粗末3点セットから効果抜群3点セットへ」
→宿題は大切です。だから、その子にあっていない悪い宿題なら、その子 に合った良い宿題に変えてもらいましょう。できる子もできない子も勉強嫌いになるキッカケの No.1は宿題にあります。本来、宿題とは一人一人違ったものであるのが正常な姿のハズです。 ところが、現状は「お粗末3点セット」と呼ばれる「教科書の本読み・漢字の書き取り・計算ドリル」ばかりです。これでは、大切にしたい宿題も大切にはできません。
§6 :準拠学習<理由と改善策>
◆準拠学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 国立教育研究所の調査では、現場の先生たちの殆どが(99%以上)が現行教科書に不満を持っています。その現場の先生たちが不満を持っている教科書に完全に沿った学習では、弊害が出るのは当然です。では、なぜ弊害がでるのか、実際に教科書を見ながら検証してみましょう。(算数の単位が分かりやすいので、以下に算数の単位を見ながら説明します)
 教科書では以下の順序で単位が説明されています。
 ①(1年上)長さの絵⇨②(2年上)cm・mm⇨③(2年下)m⇨④(3年上)km
 一見、簡単なもの(身の回りの物)から難しいものへと自然に移行しているように見えまが、よく見ると本来は全て関連している単位の構造を無視してバラバラにコマ切れ状態で部分的な説明が加えられています。これでは、バラバラの知識をバラバラに暗記するしか方法はありません。このようにして、理解力で消化すべき部分を暗記力で消化していくと、応用が利かずに、本来は難しくないことまで難しく感じるようになってしまうのです。
 このように、単位一つをみても教科書の内容だけを学習していたのでは、暗記に 頼らざるを得なくなり、混乱を招くことになるのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
正しい(深い)学習ができるテキストを使って学習する。
※教科書準拠の欠点
●「家庭学習用のテキストは教科書完全準拠版ではいけません」
→「教科書準拠は中学生から」中学生は教科書中心
§7 :点数学習<理由と改善策>
◆点数学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 正しい学習をしていると自然に点数が気にならなくなります。点数主義が悪いということではありませんが、欠点が多いのです。問題は捉え方・利用の仕方です。つまり、適切な後処理をすれば何点であろうと、点数が気にならなくなるうえに学習意欲が沸くのです。最も効果的な学習(正しい学習)は「自分の分かっていないところを見つけて、理解できるまで先生に質問する」ことです。ならば、何点であろうともキチンと間違った部分を「分からん帳」に抜き取って、先生に提出すれば何の苦労もなく完璧な学習ができるわけです。点数とは単に「分からん帳」に入れる問題が多いか少ないかを示すインジケーターに過ぎないのです。点数で一喜一憂するのは、文字通りナンセンス(意味のないこと)なのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
点数に関係なく「分からん帳」を作る。
※10点も90点も同じ

§8 :放任学習<理由と改善策>
◆放任学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 学校にお任せ・塾にお任せ・家庭教師にお任せ・参考書にお任せ、はいけません。大切なのは、何をしているかではなくて、どのようにしているかです。そのためには、どういうふうに学習しているかがわかる仕組みを学習の中に組み込む必要があります。
 最も効果的なものは添削ノートです。添削されたノートを見れば子供の理解度・教師の力量・進み具合など全てのことが明確に分かります。逆に、添削ノートに代わるものがなければ、正しい学習状況の判断はできないということです。テストで分かることはごく一部分のことです。学習の内容が分かるような手法を導入して下さい。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
「分からん帳」を提出する。【目次】【総索引】
【目次】【総索引】
※任せっぱなしはしっぺ返しをもらいます

§9 :自学自習<理由と改善策>
◆自学自習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 自学自習とは誰もが目指す究極の学習方法です。究極の学習方法ですから簡単にできるわけがありません。少なくとも小・中学生にできる方法ではないのです。本来の自学自習とは専門的な研究活動ができる施設・頭脳・方法を持った人だけができる方法なのです。にもかかわらず「詳しい解答解説があれば一人でも勉強できる/一人で勉強することが自学自習だ」と思っている親が大勢いますが、大間違いです。参考書を読んで分かる子は、学習内容が既に分かっている子です。あるいは、読解力・思考力が優れている子です。参考書は専門家が書いたものです、しかも、その参考書は、子供のレベルの言葉で書かれてはいないのです。そんな参考書をいくら読んでも分からないのは当たり前なのです。子供の言語レベルは一人一人異なっています。そんな子供達に対応できる参考書などないのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
先生と「分からん帳」のやりとりをする中で、自分の言葉のレベルでの説明になるまで「分からん帳」の提出を繰り返して自分だけの参考書を作り上げる。【
※自学自習の甘い罠
■「自学自習の甘い罠」
→テキスト次第で自学自習ができると思っていませんか?解説が詳しいので自学自習ができるという テキストの謳い文句には要注意です。子供は言葉のレベルが一人一人違います。特に小学生は千差万別です。ということは、子供が読んで分かるテキストは一人一人違っていなければならないということです。そんなテキストはありません。また、効果的な学習方法も知らない子供に自学自習は無理であり危険です。好きな科目だけやって終わりにする子供や分かっていないのに答え合わせだけして終わりにする子供になるだけです。自学自習は小1~中3の9年間を使って初めて獲得できる勉強方法なのです。つまり、9年間を使って効果的な学習方法を学び、読解力・理解力・思考力をつけて初めてできる学習方法なのです。 


§11:親子学習<理由と改善策>
◆親子学習 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 高学年で伸びない原因のNo1です。低学年で親子学習をすることの弊害は高学年で必ず必要になってくる「他人である先生に質問して問題を解決していく」という習慣を消し去ってしまうことにあります。つまり、親子学習は先生(他人)に質問しない習慣をつけていることと同じなのです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
どんなに細かいことでも「連絡帳」や「分からん帳(質問ノート)」を使って先生に教えてもらうようにして、先生に質問する習慣を付ける。→※先生不在の場合(次善策)【目次】【総索引】
目次】【総索引】
※質問が多かったので新しく追加しました。
§10-2:校外学習と保護者の関わり方(塾・家庭教師・親子学習などの次善策の注意点)
 これまでの話でおわかりのように、親(身内)が自分の子供に教えることの最大の欠点は、
他人である先生に質問できなくなること、つまりは、最も効果的な学習方法であるQ&A方式
を身につけることが出来なからに他なりませんでした。それでも、実際にはキチンと応えて
くれるだけの力量を持った先生が身の回りに何人いるかは疑問です。
そこで、次善の策としての「塾」「家庭学習」「親子学習」の注意点を書いておきます。

~校外学習と保護者の関わり方(基本は今までと全く同じ)~

●Point→どんな場合でも、子供の将来(自立)を考え、質問する力の養成に主眼を置く。
    また、質問さえキチンとできれば効果的で迅速な消化が可能であることを実感させる。
●共通点→何をしているかではなく、どういうふうにしているかを見ること!
●実践方法
「塾」:   1.テキストへの書き込み・ノートの内容を確認
       2.まとめテストを利用して定着率の確認
       3.「分からん帳」作成
        ※ココで質問の記録を残しておくことが大切!
       4.先生に提出して添削を受ける
        ※やってもらえなければ保護者が添削する(ただし、必ずノートで分からせる)
       5.「わからん帳」だけを定期的に復習する 
        ※疑問が出てきたら同じ部分でも必ず再度質問する(これが大切!)

「家庭教師」:1.進度表を作ってもらう。
       2.予習をして置いて、自力で解けなかった問題だけを中心に教えて貰う。
       3.復習時に少しでも納得できない部分は「わからん帳」に入れて次回に聞く。
        ※質問の書き方がキチンとできているかを見てあげる。
       4.「わからん帳」だけを定期的に復習する 
        ※疑問が出てきたら同じ部分でも必ず再度質問する(これが大切!)
         
「親子学習」:1.問題集のまとめテストを利用して定着率の確認
       2.「分からん帳」作成
        ※ココで口頭ではなく質問の記録を残しておくことが大切!
        ※質問の仕方・書き方を教える!!!!
       3.保護者が添削する(ただし、必ずノートで分からせる)
        ※学校の先生に頼めれば先生を活用してもいいでしょう。
       4.「わからん帳」だけを定期的に復習する 
        ※疑問が出てきたら同じ部分でも必ず再度質問する(これが大切!)
※質問しない習慣ほど危険な習慣はない
■「自分で教えることがいいことだと思っていませんか?」実は、高学年で学業不振に陥る主な原因が「低学年の時期に親が子供に教えることで先生に質問できない子供にしてしまった」ことなのです。分からないことは先生にきく習慣をつけましょう。
<校外学習の正しい活用方法>
●大手塾の正しい活用法
●家庭教師の正しい活用法
●個人塾の正しい活用法

§12:右脳教育<理由と改善策>
早期教育 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 一般に行われている早期教育は単なる先行学習であることが殆どです。発達の一般定理という法則でも明らかな様に、小3までの知識は工夫次第で就学前に習得することは比較的簡単なのです。しかしながら、結果はよくありません。理由は学習時期と学習内容のミスマッチです。早期教育で学習する内容自体は悪くはないのですがタイミングがズレているので、本来習得すべき学習内容(考える力)が欠落したままでの応用の利かない知識の集積になってしまっているのです。これでは、高学年での伸びは期待できません。早期教育の結果が芳しくないのもこれが原因と考えられています。最も重要なのは、自然な頭の発達に即した正しい時期に正しい学習内容を習得させることです。
<対策>…………………………………………………………………………………………………
先行学習などではなく、良質の問題を通して自然な発達に即した深い学習をする。#【目次】【総索引】
※頭は両方で使うためにある
●右脳だけでいいのなら左脳はないはずですし、左脳だけでいいのなら右脳はないはずです。つまり、考える(人間)には両方が必要なのです。問題はバランスです。バランスよく同時に育てる(使う)必要があるのです。
●「視覚思考(Visual Thinking)」はイメージを倦んだり、それを操作したりする思考様式である。
アインシュタインのアイデアの源泉 
*....私の場合、最初に重要なのは視覚的要素であって、従来の言葉や記号を骨折って探すのは、第二段階にすぎない
●「どんぐり倶楽部」の文章問題は自然に右脳と左脳をバランスよく鍛えるようになっています。
●文(左脳)→作絵・作図(左脳+右脳)→目で考える(右脳)→立式(左脳)→計算(反射運動)
=難易度10 難易度7        難易度5     難易度3  難易度1
●アインシュタインは26歳のときに<特殊性相対性理論>を発表し、34歳で<一般相対性理論と重力の理論>を発表。43歳でノーベル物理学賞を受賞している。ところが、彼の「脳」は一般の平均と比較して170g軽かったのは有名な話だ。小さかったのだ。前頭葉のシワも少なかった。大脳生理学者のベルナール・パッテンは1973年、アインシュタインが視覚的思考(イメージ思考:Visual Thinking)をしていたという論文「メモリー&メンタルイメージ」を発表した。アインシュタインは<時間の同時性>を証明するために、信号や機関車などの実験を用いたし、重力と慣性、加速度を実験するときも、箱を作ってイメージを高めていた。また「書いたり話したりすることは私の思考に重要でない」「イメージがさきにあった」という有名な言葉も残している。しかし、論文は文字で書かれている。
●右脳教育 一般に左脳は言語をつかさどり、右脳はイメージをつかさどる(R・W・スペリー)と言われている。そこで、たとえば右脳を訓練すれば、記憶力が鋭くなる(直観像化)。漢字や英単語を、見ただけで暗記できるようになる(フォトコピー化)。あるいは20~30個のものを、瞬時に数えることができるようになる(高速処理化)という。でも、だから何なのだろうか?もしも「計算が速く(計算機能)」「直感像能力者(複写機能)で」「言葉を早く正確に覚えられ(録音機能)」「絶対音感(音叉機能)がある」ことをして天才というのならマシンは全て天才になってしまう。私は子どもをマシンにすることは願い下げだ。神戸でおきた「淳君殺害事件」を引き起こした少年Aの母親は、こんな手記を残している。「(息子は)画数の多い難しい漢字も、一度見ただけですぐ書けました」「百人一首を一晩で覚えたら、5000円やると言ったら、本当に一晩で百人一首を暗記して、いい成績を取ったこともあります」さらに、その少年Aについて、「直観像素質者(一瞬見た映像をまるで目の前にあるかのように、鮮明に思い出すことができる能力のある人)であって、(それがこの非行の)一因子を構成している」という鑑定結果が出されている。要はバランスの問題。左脳教育であるにせよ右脳教育であるにせよ、バランスが大切。子どもに与える教育は、いつもそのバランスを考えながらする。
●視覚思考に関する資料"My Experiences with Visual Thinking Sensory Problems and Communication Difficulties" by Temple Grandin, Ph.D. Assistant Professor Colorado State University 
●空間知性は図形認識から:空間知性の中の重要な特徴は、書くことの中にある重要な特徴を反映しています。見ることはまさに空間知性のなせる技ですが、知的な理解は、観察や描写に基礎を置くすべての書く作業に土台を提供するのです。
●ウイリアム・ブレイクは視覚におけるイマジネーションの役割についてこう言っています、「心は目を通して見る。」 "Multiple dimensions to Learning" by Dr.Jan Davidson, President & Founder of Davidson &Associates,Inc.
「足し算と引き算の文章題を解くために図を用いることを子どもに教える」
(Teaching children to use schematic drawings to solve adition and subtraction word problmes)
というタイトルの論文です。1988年、Journal of Educational Psychology という教育心理学系の論文誌に掲載されています。著者は Gordon B. Willis と Karen C. Fuson です。
●右脳教育の落とし穴※特別な教材を使って右脳教育と騒ぎ立てる必要はありません。文章問題をやればいい。問題はやり方です。
●当然、様々な仕事の基礎となる三次元処理能力も基本は平面図なので、練習は絵図を書くことで可能です。

◆4:頭の健康診断

※教科書で出来る現状分析(病状を知らずに手当ては出来ません)

●改善策の基本:現状分析→原因解明→有効対策→実践方法→<実践サンプル>→<実践結果>

§1:頭の健康診断の理論と方法
※参照:ピアジェの発達理論
§19:頭の健康診断 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 どんぐり倶楽部で年に3回実施している「頭の健康診断」とは、単なる表面的な学力を調べる診断テストではなく、頭の自然な発達に沿った学力が健全に成長しているかどうかを診断するものです。診断表の総評では今後 の学力の伸びを予測して、現在の学習状況への的確なアドバイスをします。素晴らしい成果を得るための全ての基本は現状分析です。現状分析無くして改善策は絶対に見つかりません。また、自然な発達がなされていることが分かれば必要以上の学習を要求する必要はなくなります。いずれにしても定期的に頭の健康診断を受けることは体の定期健康診断と同様に考えるべきものです。
§2:診断の実際
※文章問題で分かる知性の発達度合い

§3:実際の手順<実践サンプル>            
 
第2章ー子育てを考えるー

◆1:子育てのスーパーキーワード
●発育の大原則
 急成期には栄養を、成熟期には刺激と栄養を必要とする。
 急成期に不要な刺激を与えると自然な発達を妨げ、ひいては奇形を発生させる危険性がある。
●急成期に機会的な反復によって作り出される反射的学習は極力避けるべきです。能力の発達を阻害し制限し、考え方を硬直化します。
スポーツもそうですが、成長途上中は様々な経験をさせるべき時期であって過度の練習や単純な反復ばかりをさせていると他は何も出来なくなってしまいます。

<小見出し>
●心のこもった暖かい言葉に勝る教育はない。
:一番大切なこと(人は言葉によって育てられる)━━━━━━━━━━━━━━━━━# 「人は言葉によって育てられる」という言葉があります。子育ての基本もまた、同じです。暖かい言葉のシャワーが心の成長を促し、豊かな言葉のやりとりが頭の成長を促します。このことを心に刻み込んで、年齢別に子育ての要点をみていきましょう。暖かい言葉のシャワーが大切なのです。
子育ては大きく分けて3つの時期に分かれます。言葉を話すようになる3才までの言語習得時期・論理的な思考力をそだてる9才までの思考力習得時期・基礎知識を身につける15才までの知識集積時期です。これらの時期は、不思議なことに、全て3年サイクルで成長を続けます。これらのことからも、3年という年月が1つのことを習得するには最低の必要時間ではないかと考えられます。
 実は、学校で使われている教科書もこの発達過程を踏まえて構成されていますので、ここで示した各々の発達過程での十分な発達がなされていないと、学習に支障をきたすことになります。顕著な例が思考力習得時期における不十分な発達が原因による高学年での落ちこぼれ問題『満点落ちこぼれ現象』です。これは、思考力をつけるべき時期に知識の集積をさせてしまい、具象から抽象への飛躍を妨げていることが主な原因となっています。小学校低学年で先行学習をしている殆どの場合が、このパターンに陥っています。
§1:最優先課題は「情緒の安定」
※「見て見て聞いて聞いて」を大切に
※満足→安定→要求しなくなる→次の段階へステップアップする
※自然にという意味
●育児疲れは子どもに悪影響を及ぼす。
 だから、超長時間の育児は親子双方にとってよくない。
 これは、心の健康という面からも気をつけて欲しい問題である。
 3人の子どもを0才児から保育園に預かって貰った。
 そして、時間があれば子どもと楽しく過ごした。
 3人の子どもが夜泣きをしたことは一度もない。奇声を発することも一度もなかった。

§2:幼児教育・早期教育を支える貧弱な理論

●私には、速さや大量の知識を子どもに身につけさせようとしている親を見ると、時間とお金をかけて自分の子どもの才能を潰し能力を制限しているように見える。
●「間違いだらけの幼児教育」  
→幼児期の系統的学習は無意味である→体験的学習と系統的学習
●教えられても分からせることはできない
早期教育の場では「子どもには何でも教えられる」と言われている。実は、続きがあって「子どもには何でも教えられる、しかし分からせることができるとは言っていない」というのが全容です。当たり前のことで、小学生にでも特殊相対性理論を教えることはできますが、分からせることはできないでしょう。また、分かったとしても、そのことがいい影響を与えるとは思えません。
●1才の子が時計を読めたら天才と呼ばれるでしょう。しかしながら、その子が10才になったとき回りの子もみんな時計を読めるようになっています。その時「僕は1才の時に時計が読めたんだぞ」と言って何になるのだろう。笑いものになるのが関の山でしょう。
どうしてこんなにも明白なことが見えないのでしょう。速さにしてもそうです。「速いに越したことはない」と思っている人がいますが、本当に速さが必要な場面があるでしょうか。入試でさえ90%以上が文章問題です。10%分を解くのにどんなに高速でも役に立たないでしょう。正確であれば5倍の時間がかかっても大差はありません。
ここに「ミスエデュケーション(デイヴィッド・エルキンド著)」という本があります。筆者は児童心理学者・米マサチューセッツ州タフツ大学教授・全米幼児教育会会長です。彼の考えは「どんぐり倶楽部」の考えとよく似ています。資料とともに抜粋を載せておきます。「体験的学習というポイントを無視して子どもに何かを教え込もうとするのは誤った教育です。例えば、フラッシュカードは不要な冷たいコミュニケーションを強いることになるので、将来の学習にとってなくてはならない愛着と信頼感を損なう結果となり、子どもにとっては百害あって一利なしと言わざるを得ません。また、象徴的・派生的学習の準備ができていない子どもに系統的教育(早期教育)を押しつけることの弊害は、すでに多くの証拠によって裏付けられています。例えば、早期教育を受けた子どもと受けなかった子どもとを15才まで追跡調査した研究によると、受けた子どもの方が10代になってから非行に走る割合が明らかに高かったのです。別の研究では早期教育を受けた子どもの方が小学校に上がってから、より攻撃的な態度を示すことが明らかになりました。さらに、1800年代の初め、米マサチューセッツ州では2~4才の子どものおよそ3割が学校に通って読み書きを習わせられていました。また、同じ時代のイギリスでもロバート・オーエンが早期教育を推進しようとしました。ところが、結局どちらの試みも失敗に終わり幼児に読み書きを教えることはなくなったのです。」つまり、幼児期には情緒の安定が最優先であり、学習は体験的学習に限るということです。
<幼児教育>
●少なくとも、95%の土台(準備)ができてからでないと上に建物は建てられない。そして、人間の土台作りにかかる時間は決まっている。ならば、建物のことは後回しにして、素晴らしい土台を作ればいい。
●幼児期とは料理(思考)の材料(言葉)1つ1つを丁寧に味わう二度と戻れない最も大事な時期です。そんな時期に簡単お手軽で、どんな材料を使っているかも分からないような料理(幼児教材)ばかりを食べさせられていては味覚(思考能力)は麻痺し、材料に対する好奇心も探求心も愛着もないままに育ってしまうのは当然です。
●早期教育・幼児教育はアメリカが最先進国です。しかし、その最先端の情報は日本ではあまり知られていません。なぜならば、早期教育・幼児教育に携わる殆どの人々の職を奪うことになりかねないからです。つまり、早期の系統的教育はその子の能力を開発するのではなく制限し、才能を潰し、性格を攻撃的にする可能性が大きいという報告が多数あるからです。

<早期教育>
●教えられても分からせることはできない
早期教育の場では「子どもには何でも教えられる」と言われている。実は、続きがあって「子どもには何でも教えられる、しかし分からせることができるとは言っていない」というのが全容です。当たり前のことで、赤ちゃんにでも特殊相対性理論を教えることはできますが、分からせることはできないでしょう。
●1才の子が時計を読めたら天才と呼ばれるでしょう。しかしながら、その子が10才になったとき回りの子もみんな時計を読めるようになっています。その時「僕は1才の時に時計が読めたんだぞ」と言って何になるのだろう。笑いものになるのが関の山でしょう。
どうしてこんなにも明白なことが見えないのでしょう。速さにしてもそうです。「速いに越したことはない」と思っていませんか。本当に速さが必要なのですか。入試でさえ90%以上が文章問題です。10%分を解くのにどんなに高速でも役に立たないでしょう。正確であれば5倍の時間がかかっても大差はありません。
<体験的学習><赤ちゃんは天才>=<体験させることが重要>
 体験的学習には説明できないほど複雑な情報が含まれている。一方、系統的知的学習は単純で簡単で受動的で限定されている。いわゆる早期教育・幼児教育はこの系統的知的学習が殆どです。例えば「写真と文字を見て海を知る場合」と「海に行って海を知る場合」では、どちらが高度な情報処理を迫られるだろうか。もちろん後者である。知るだけではなく感じること、感覚的に納得すること、これが大切なのです。これは限りない情報を受け入れていることなのです。こればかりは、海なら海そのものを目の当たりにしなければ不可能なことなのです。系統的知的学習である早期教育は合理的に作られています。言い換えれば単純で程度の低いものとなっているということだ。当然のことながら、最も処理能力が高く高度な感受性を有する幼児期にこんな教育をしていたのでは開発どころか、様々な能力を未発達に終わらせていることになります。豊かなインプットなしに優れたアウトプットはありえません。 リンゴの皮だけを集めてもアップルパイは作れないのです。優れた種があっても豊かな土地がなければ作物は育たないのです。幼児期の体験は知識を越えています。ですから、小手先の知的教育では全く相手にならないのです。 
<遊びという体験学習>
 人間は人間になるために遊びを経験する必要があります。全世界の人間に共通な遊びとしては「ごっこ遊び」などがあります。そして、十分な体験学習の後で高度な学習が可能になるのです。この体験学習なくして高度な学習は成り立ちません。頑丈な土台がければしっかりした家は建てられません。
■「正しい時期に正しい教育を受けましょう」「早期教育という名の特異教育」 
 今、早期教育がもてはやされていますが、名ばかりの成果しか出ていないのが現状です。逆に、正しい学習習慣を身につけるべき時期(小1~小3)を逃して高学年で学業不振になってしまう子供が激増しています。どんなに低学年で学業優秀でも高学年で学業不振に陥ったのでは、全く意味がありません。この歪みを取り除き、子供の自然な成長に合わせた手作りの学習方法を考えましょう。 


●幼児教育・早期教育を支える理論について
 スキャモンの発育曲線(1930年)は現在も幼児教育の有用性を訴える基礎データとして活用されていますが、殆どの幼児教育理論は神経型(神経細胞の発達度合い)のデータを一方的に教材販売や教室運営に結びつけるための貧弱な理論となっています。スキャモンの発育曲線(神経型)から分かることは「神経細胞は6才までに90%という急成長をし、9才までに95%に達する」ということで「だから、幼児期に知的情報(刺激)を詰め込む方がいい」という結論には繋がりません。また、第一言語修得に関する臨界期(大脳の一側化:大脳左半球と右半球の機能分離)や言語習得装置(Language Aquisition Divice)のデータを利用して幼児英語の必要性を説く場合も、第一言語が日本語である日本人には的外れな理論が殆どです。S.Krashenの理論を引き合いに出すまでもなく、人は生まれながらに言語を習得できるようになっています。逆に言えば、言語を修得出来ることが人間の証なのです。ところが「だから、幼児英語」とは繋がらないのです。
 人間(人類)の発達は日本の教育に合わせて作られているわけではありません。ということは、発達曲線を見る時には「この年令でこう発達するのだからこれをやらせよう(幼児教育を支える理論)」ではなく「何のためにこの年令でこのような発達が見られるのか」と考えるべきです。そして、この発達は人間に固有のものであること。さらに、人間が人間である最大の理由は言葉(第一言語:母国語)を操ることができる点にあることを考えると、次のような推論が成り立ちます。神経細胞が幼児期に急速に発達するのは、複雑な言葉を十分に修得するためでる。
 なぜなら、言葉は具象の世界から抽象の世界への掛け橋となるからです。つまり思考の源となるからです。ですから、この時期に全身が言葉の修得に全力を向けるための行動をとるのです。一般型(肉体細胞)が生命維持のための細胞を作り上げた後に一時期緩やかな発達(停滞さえする)に移行するのも全エネルギーを思考の発達に振り向けるためだと考えると理由が分かります。具象から抽象への飛躍には、それだけエネルギーが必要であり、重要だということです。
すると、天才とも思える乳幼児の言動が全て理解できます。神経細胞の発達は決して、幼児教育を可能にするためのものではないのです。つまり、いわゆる知識偏重型の幼児教育は的外れということです。知識としての言葉ではなく、実体験を伴った豊かな言葉の修得には時間がかかります。ですが、このような言葉の修得は豊かな畑を作るために丁寧に耕された土地と同じで、豊かな実りを約束するものです。手を抜かずに、慌てずに耕してもらいたいものです。
 豊かな言葉は、複雑な事柄を簡潔に吸収する力を生みます。「要点が分かる」「いいたいことが分かる」ということです。また、言葉の裏にあることも了解します。「1を聞いて10を知る」ということです。
この能力はやがては空間知性と呼ばれる3次元を操る力に発展します。
<早期教育>
●「子どもは学習したがっている」と言われて「では、知的系統的学習を」と思ってしまう人がいますが、子どもが求めているのは心地よい体験的学習なのです。このことを知らずに学習→勉強→知識の集積・処理能力向上などと思うのは大きな間違いです。子どもが求めているのは機械的な反復刺激ではなく、豊かで暖かい体験的な意味のある刺激なのです。
●「英語と音感教育とは違います」
→発音は日本語式(カタカナ発音)で十分→発音はいつでも矯正できます(大学からでOK)
●「どんぐり倶楽部」が情緒の安定を子育ての最重要項目に据えているのは、あらゆる学習の成果を約束する原点だと考えているからです。同様の考えは「EQこころの知能指数(ダニエル・ゴールマン)」「人間の脳の発達(林壽郎)」の中にもあります。
●オリックスの山口和男投手は日本最速の158km/h(2002.7/29・2002.7/31)を記録していますが、彼は中学から野球を始めています。早く始めなければいけない理由はない。2001.10/3には157km/h
●スキャモンのデータ(1930年)は学校がないところでも人間であるならば同じように発達すると言うことを裏付けています。では、何の為に発達するのか。言葉で考えるためです。
●日本の学校教育に合わせて人類が誕生したわけではありません。同様に、日本の学習時期に合わせて脳が発達するわけでもないのです。
●プリンストン大学の最新の研究では、脳細胞は日々新たに生まれており、今までの通説、「大人には新しい脳細胞は生まれない。脳細胞は日々減少していっている」という考え方に修正を迫る発見がなされています。 ["Brain May Grow New Cells Daily"New York Times Oct. 15, 1999] →当然の発見で、自然とは変化するもの。細胞は死滅しながら誕生しているのでしょう。植物が呼吸と光合成の両方をしていても日中は光合成によって作られる酸素の量が多いので呼吸による二酸化炭素が出ていないように思われることと似ています。

●<実践サンプル>:早期教育・幼児教育の害→一言で見抜ける確かな方法→自分で感じる
※まず、自分の心に起こる様々な変化を感じるために心を落ち着けます。そして、自分がどれだけの情報をだして、子どもがどれだけの情報を受け取っているのかを考えながら(感じながら)次の言葉をいいます。
※子どもの手を握り心を込めて、子どもの目を見ながら「暖かいね」と一言。
→どれだけの情報(感情や雰囲気や思いも含めた言葉では言い表せないこと全て)が伝わりましたか?これが体験的学習です。
※カードを見せて文字を指しながら「ヘリコプター」と一言。
→どれだけの情報が伝わりましたか?これが知的学習です。
※どうですか?あなたの心や感情は何を伝え何を受け取りましたか?子どもは感受性が高いのですから、今あなたが感じたことを何十倍も激しく感じているのです。どうですか?これでも続けますか?何が豊かな学習で何が貧弱な学習なのか、どうして体験的学習が良くて知的学習が悪いのか自分の心に聞いてみてください。

<データ分析の基本>
●成長期-栄養を欠かさない・過度な刺激は与えない・急成期・理論と基礎実践→応用理論
●成熟期-多少の刺激にも耐えられる・鍛錬期・理論の実証を実践で行い検証する
●安定期-総合的な力を出せる時期・実践期
●停滞期-特殊な状態でエネルギーを消費しないようにしている時期

●神経型では5-6才が熟成時期・6-9才が飛躍準備期・9才が飛躍ポイント・9-12才が熟成時期・12才~総合応用
●一般型では0-3が第1次急成長期・3-5が第1次熟成期・5-6が停滞期・6-12が成長準備期・12-16が第2次急成長期・16-18が熟成期・18~総合応用
●レストラン
1.材料の吟味~選択(見る)★★★
2.下ごしらえ(イメージ操作)★★★★★
3.調理(立式)★★★
4.盛りつけ(写式)★★
5.料理を運ぶ(計算:反射)★
6.配置(筆算)★★
7.説明(自己解説)★★★
●幼児期には体験を通した学習でないと効果がないのは、刺激を快く感じないと受け入れる準備が整わないからでしょう。こうして、学習を受け入れる準備(吸収する準備)がくり返されると、吸収力は独立して働くこともできるようになり、青年期での「必要だから学習する」という時にも威力を発揮するのです。
●考える力とはパターン学習で身につけた既に知っている解法を使う力ではない。考える力とは未知の問題に対して~
<どんぐり>の思考の発達理論※スキャモンともピアジェとも整合性を持っている
(0~3)(3~6)[(6~9)(9~12)](12~15)
<ピアジェ>の思考の発達理論
§1:感覚運動知能期[period of sensory-moter intelligence](0~2歳)乳児は、対象の認知を感覚と運動によって行う。
§2:前操作思考期[preorerational period](2~6歳)言葉の獲得により実物をイメージ化できる
§3:具体的操作思考期[concrete operational period](6~12歳)簡単な推論可能
§4:形式的操作思考期[formal operational period](12歳~15歳)複雑な推論可能
※一生続く形式的、抽象的思考操作が可能になる。「もし~であれば」と仮説演繹的思考も可能。現実の世界にはないことも思考可能。仮説の上に立って、具体的な内容は無視して論理的に議論の形式さえ正しければ思考を進めていくことができる。体系的に探求することができる。
「わかりかた」
第一は「感覚運動的わかりかた」=実物を通して理解
第二は「心象的わかりかた」=実物の図で理解する→絵図(イメージ)で理解
第三は「概念的わかりかた」=言葉で理解
●ここに恐ろしい研究データがある。体験認知型とパターン認知型で育った3才児の社会性や運動能力等の発達を比較したものである(家庭教育研究所)。対象は3才児84名中すでに「ひらがな」をすべて読める14名のなかから、T型(親に読み聞かせをしてもらうなかで自然に覚えた体験認知型)とP型(フラッシュカードの様な物を使って読みのパターンを提示されて覚えたパターン認知型)を選び、社会性や運動能力等の発達を比較した。

  体 験 型 パターン型
   発達度   発達度
   078%   068%(-10)  情緒性(自己信頼性+感情統制+感情表出)
   068%   052%(-16)  自発性(探索意欲+自己主張+集中力)
   066%   036%(-30)  運動性(活動量+敏捷性+運動調整)
   064%   055%(-09)  認知性(モノの操作+つもり・みたて+状況把握)
   070%   048%(-22)  言語性(言語理解+流暢さ+言語イメージ)
   073%   050%(-23)  社会性(大人への親密さ+友達志向+役割行動)
   070%   052%(-18)  全体的発達得点

※これらのデータでも体験型がいかに優れているかが分かる。受け取る情報量・質ともに格段に違うのだ。
            体 験 型 パターン型
             到達度   到達度
情緒性:自己信頼性  → 100%   100%(±0) 
    感情統制   → 060%   060%(±0)
    感情表出   → 070%   040%(-20)
自発性:探索意欲   → 065%   045%(-20) 
    自己主張   → 080%   050%(-30) 
    集中力    → 050%   060%(+10) 
運動性:活動量    → 060%   055%(-05) 
    敏捷性    → 060%   040%(-20) 
    運動調整   → 060%   ○○%(データなし) 
認知性:モノの操作  → 060%   060%(±0)
    つもり・みたて→ 065%   055%(-10) 
    状況把握   → 065%   050%(-15) 
言語性:言語理解   → 070%   065%(-05) 
    流暢さ    → 070%   055%(-15) 
    言語イメージ → 065%   055%(-10) 
社会性:大人への親密さ→ 070%   050%(-20) 
    友達志向   → 070%   045%(-25) 
    役割行動   → 070%   050%(-20) 
全体的発達得点    → 070%   052%(-18) 

<ALD>
1.「人為的学習障害:作られた学習障害」単純な反復学習により定着させられた高度な学習を受け付けられない状態→Artificial Learning Disabilities=ALD

<障害>※共通していることは「成長が終わらないうち(急成長期)に不自然な刺激をすること」
●味覚障害
最近、スープが水のように感じる、ケーキを食べても甘く感じない、こんな症状を訴える子どもが増えている。味は舌や上顎や喉にある「味蕾」を通して脳で感じられる。そして、人間の味覚の発達は10歳くらいで終わるといわれている。しっかりとした味覚が形成されないうちに、強い味付けが施されたインスタント食品をはじめとするジャンクフードになどを頻繁に食べると味覚障害になりやすい。
●怪我を治すとき(回復期=成長期)には外力(刺激)を与えないようにする。特に骨折時にはギブスをして固定してしまう。逆に直って(回復=成長が終わって)からは、どんなに痛くても動かさないと(リハビリしないと)動かなくなってしまう。これは、生まれてから初めて成長する段階でも同じである。この点ではスポーツ界の方が教育界よりも進んでいる。それは、当然のことで障害(スポーツ障害)の症状が直ぐに表面化して検証しやすいからです。そして、頭の発達も同様であることに早く気づくべきです。
●味覚障害
  最近、スープが水のように感じる、ケーキを食べても甘く感じない、こんな症状を訴える子どもが増えている。「味」が味蕾を経由して脳に到達する経路のどこかに故障が発生して起こる味覚障害である。一般に、人間の味覚の発達は10歳くらいで終わるといわれている。しかし、しっかりとした味覚が形成されないうちに、強い味付けが施されたインスタント食品をはじめとするジャンクフードになどを頻繁に食べることによって、味覚障害になる子供が増えている。
  フランスにおいても、近年、味覚が学習不足によって平準化し、繊細な味覚が損なわれており、そしてそのことが食事を過度に画一化し、味覚に対する感受性が低下しているという。そこで、教育的な訓練の重要性が叫ばれ、国家レベルでの味覚啓蒙計画が打ち出された。文部省の要請により、1992年ごろから味覚の啓蒙活動に着手している。味覚教育を意味する「ルソン・ド・プー」というもので、フランス全土の小学校に各地域のレストランのシェフが出張し、その地域の産物を使った伝統的な味を子どもたちに覚えてもらおう、というものである。
 子供たちの偏った食生活の原因として、家庭における間違った食習慣のほかに、学校における今までの食教育が、栄養学や統計学に偏っていることが指摘されている。子供の五感や心理を無視した実感の伴わない教育では、覚えることに重点をおいてしまい、興味を感じないという理由からである。
「私たちはスピードに束縛され、習性を狂わされ、家庭のプライバシーにまで侵入し、ファストフードを食べることを強制されるファスト・ライフというウィルスに感染しています。そこで、ホモ・サピエンスは聡明さを取り戻し、我々を滅亡の危機へと追いやるスピードから、自らを解放せねばなりません」これは、パリのオペラ・コミックで発表された「スローフード宣言」の一部である。「食事くらいゆっくり食べようじゃないか」そんな指針を掲げて、1989年にイタリアの片田舎ブラという町からはじまった、「スローフード運動」が、いま世界の注目を浴びている。
  スローフードとは標準化され、規格化されたファストフードを始めとする現代社会の食べ物とは対極をなすものである。しかし、ただ単純にファストフードを排斥したり、昔の食慣習に戻ることを主張することが目的なのではなく、世界各地のいろいろな食べ物や食文化を大切にしながら生き方や自然との関係を見直そうという幅広い考え方である。冒頭で述べたファスト・ライフというウィルスのワクチンはスローフード、とスローフード協会の会長、カルロ・ペトリーニ氏は説く。イタリアの田舎町に生まれたスローフード協会のシンボルマークはカタツムリである。
「どんぐり倶楽部」のBBSで使っている私のキャラクターもカタツムリである。

<Holding ability>
2.「処理しないで保っておく力」つまり、その物事を理解する力が不足している場合に、適当に処理しないで、事象そのものを(あるいは本質を)考え続ける力→Holding ability

<元服>
日本には古来から「元服(げんぷく)」という、現在の成人式に該当する儀式がありました。 元服とは、男子が成人となった証として、成人の装束を着て髪を結い、冠をかぶる儀式です。 十二歳から十六歳ぐらいまでの間に行われ、このときに幼名を廃して鳥帽子(えぼし)をつけます。

●まとめ:1年を1行でまとめる
0~3才→不快感を与えないように適度なスキンシップと暖かく快い声掛けをする
3~6才→体験的学習(具体的な物事)の中で豊かな言葉を味わえる機会を多くする
    →※楽しい体験としての読み聞かせをする(質問しない)
    →※知的系統的学習は情報が貧弱すぎて悪影響を及ぼす×
6~9才→具体的で理論的な言葉を分からせるような対話をする
    →※展開を重視した読み聞かせをする
    →※文章問題◎
    →※スピードは要求しない×
9~12才→抽象的で理論的な言葉を分からせるような対話をする
    →※文章問題◎
    →※スピードは要求しない×
12~15→ここで知的系統的学習を使って頭を鍛える
    →あらゆる学習に耐えられる頭の体力を付ける(多少無理してもいい)
    →鉄は熱い内に打て(Strike while the iron is hot.)とはこの時期のこと!
    →この時期より前に打つと鉄といえども液体状態なので飛び散ってしまう!

●メダカの細胞分裂は小学校や中学校の教科書でおなじみですが、あの細胞分裂(急成長)をしているときに不自然な刺激を与えると
どうなるかご存じですか?

●複雑な急成長をしているときに不要な刺激を与えることは危険すぎます。

<飛躍点=変態点>
●蝶と人間の成長過程を比べるととても分かりやすい。
  <蝶:人間>
   卵:乳児←←←←←0~3頭の生命維持をできる回路を作る時期
  幼虫:幼児←←←←←3~6環境適応のための材料収集(言葉を蓄える時期)
 サナギ:子ども←←←←6~12変態準備期間:内部構成を変えて変身(進化)する時期
 蝶(成虫):大人(成人)←←12~

※※サナギの重要性→成虫になるための最も劇的な変化をする時期なので、全エネルギーを要する。そのために外界からの余計な刺激を受けないようにサナギとなる。必要な刺激は太陽の光や空気など自然な刺激だけ。
※※人間も同様に、この時期に頭の中で具象の世界から抽象の世界への飛躍という最も劇的な変化をする。人間が成人(本当の人間)になるにはこの飛躍が必要なのです。だから、この時期に余計な刺激は厳禁です。この時期に的はずれな教育を受けると飛躍の時期を失ってしまい、見かけは大人だが頭は未成人(子どものまま)ということになってしまいます。 
:母親の最大の責任は言葉の習得 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━#
 母親の最大の責任は豊かな言葉を習得させることです。女性は男性よりも言語能力が優れていると言われています。また女性は男性よりもオシャベリな人が多いのは人類の英知ともいえる遺伝なのです。女性の特権は子供を産めることであり責任は言葉を習得させることなのです。また言語レベルは学力と比例するというのは当然のことで、先生の言葉が分からなければ、授業は分からない、言葉が分からなければ参考書でさえも理解できません。
 0歳から3歳までが音を言葉に変える時期です。楽しい語りかけが必要です。4歳から6歳までは言葉を自分のものにするための試行錯誤の時期です。丁寧に聞き役に回って十分に対話を楽しんで下さい。また、読み聞かせは言葉のイメージ化に大変役立つものですので、是非活用して下さい。7歳から9歳までは対等に話ができますが、言葉の量は幼稚なものですので、丁寧な対話を通して豊かな言語世界を作ってあげて下さい。#
※もちろん最低でも小3までは読み聞かせを続けて下さい。
◆2:読み聞かせは最低でも小3まで続ける

§1:6歳まででは水の泡
※読むと聞くでは大違い
:読み聞かせは最低でも小3まで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━#
就学前までは絵本の読み聞かせをしていた人が、子供が小学校に入ったり 自分で本を読めるようになったりすると、読み聞かせをやめてしまう人がいます。何ともったいないことでしょう。あと3年続ければ大きな成果が現れるのに、今までの苦労が水の泡です。
自分で読むことと聞いて楽しむこととは、全く違うということをご存知でしょうか。特に、読めるようになったばかりの小1の時期には、自分で読むことと聞いて楽しむこととの間には雲泥の差があります。思考力・創造力を獲得するにはイメージする力の発達が必要です。そして、イメージする力の発達には聞いて楽しむことができる読み聞かせが最適なのです。ですから、思考力・創造力が飛躍的な発達を遂げる小1~小3の時期に読み聞かせが必要なのです。自分で読む場合には、読むことにエネルギーを使ってしまいイメージ化が貧弱になってしまいます。その結果、読めるだけで読み取れない<本読み得意の本嫌い>になる可能性が増大するのです。ところが、読み聞かせだと100%のエネルギーをお話のイメージ化に費やすことができるので、楽しく、しかも効果的にイメージ化できるのです。また、自分で読む本と読んでもらう本では質・量ともに差が出てくるのは当たり前です。この時期に読み聞かせをしてあげないのは、輝き始めた宝石に泥を塗ってしまうようなものです。
※読み聞かせは読解力のテストではありません。読んだ後にストーリーや登場人物の確認をしたりしてはいけません。楽しく読んであげて「楽しかった」という体験を積み重ねてあげることが大切なのです。
●読み聞かせの本質は読書の楽しみを体験させることにあります。ストーリーの確認をしたり、登場人物の確認をしたりしてはいけません。また「読み聞かせ」は最低でも小3までは続けないとせっかくの苦労が水の泡となってしまいます。
「読み聞かせ」
 「読み聞かせ」が大切なのはよく知られていますが、読み聞かせの本質を理解している人は少ないようです。小学校になって字を読めるようになったから自分でよませる。読解力養成のために内容を確認する。いずれもせっかくの読み聞かせが本嫌いを作っている典型です。 少なくとも小3までは読み聞かせを継続しなければ、子供はたちまち本嫌いになってしまいます。それも、楽しい読み聞かせでなくてはいけません。読み聞かせの本質は、イメージを楽しむことにあり、その楽しい体験そのものが重要なのです。本(文字)にまつわる楽しさの積み重ねが大切なのです。ですから、読み聞かせは読み終えたら「オシマイ」です。主人公を確認したり、ストーリーを確認したりしてはいけないのです。イメージすることの楽しさを実体験させてあげることなのです。こうすることで、結果として抵抗なく文字に興味をもち、イメージ化するというあらゆる学習の基本となる力が身につくのです。  特に、小3までの「読み聞かせ」は重要です。文字を覚えた子供は文字を読みたがりますが、子供の力は読むことで手一杯となりイメージする力は残っていないの